ときどき考える、ときどき日記

アラサー社畜(会社員)がこれからの人生について考えたり、日記を書いています

愛してやまないものがある幸せ

お正月休みに行われた小規模な高校の同窓会で、4〜5年振りに会った友達がいた。彼女が俗に言う“アニヲタ”になったという噂は以前から耳にしていたが、アニヲタになったらしい彼女に会わないでいた為と学生時代のリアリストなイメージから、これまで実感できた試しはなかった。

同窓会当日、席が向かいだったこともあり彼女の近況をたくさん聞くことができた。いろいろ想像以上だった。好きな漫画をいくつか教えてもらったが、同じコミックのセットが3つあるとか、あらゆる費用を捻出するために主食はピザポテトだとか、聞いていちいち驚いていたのでその他の記憶が曖昧になるくらいだった。話に圧倒されすぎて「ピザポテトを主食にするなら他のものがあるのでは」とか簡単に言ってはいけないと思った。
なかでも彼女がいま一番好きなものは、「弱虫ペダル」の舞台らしい。その舞台に出演している俳優を好きになり、他の舞台まで見るようになったとのこと。「弱虫ペダル」という作品に関してはタイトルしか知らなかったが、自転車競技を扱った漫画が原作であり、舞台ではハンドルだけ持って演技を行う、ということだけ会話から記憶に残っている。「ハンドルだけで演技するなんてすごい!」と思ったから故のとても雑な記憶だった。でも彼女がすごい勢いでとても楽しそうに好きなものを語ってくれたことはよく覚えている。
 
わたしもつい一昨年まではいわゆるジャニヲタだった。諸事情ありたった2年程度で卒ヲタしてしまったが、とても楽しくてしょうがなかった。
それまで大いなる興味があったわけではないので、ジャニヲタになるとあらゆることが新鮮だった。Twitterを介してひとときだけでも友達がたくさんでき、交流を持った人は皆親切ないい人ばかりだった。ヲタになる前は「熱狂的すぎてちょっと怖い人もいるような気がする」と思っていたし、確かにそういう人もいるけれど、自分が恵まれていたせいかファン同士のふれあいで嫌な思いをしたことはない。普段Twitterのみでやりとりしている人とコンサート会場で会い、各自のおみやげを交換するような女性同士のほっこりしたコミュニティに接していた。平和すぎる。
また、急激に好きになったものへの興味が押さえられないわたしは、しょっちゅう親友たちに好きなタレントの人となりや発言、視聴したテレビの内容や観覧したコンサートでの演出についてを語り、録画した番組やコンサートDVD、MVを見せるなどした。相手が嫌がっていたらハラスメントである。言うなればジャニハラか。しかし親友たちは嫌がらず、それなりに興味を持ち、笑って、わたしの愛するものを話を聞いてくれたのだった。わたしもきっとすごい勢いで好きなタレントについて語っていたし、散々話しておいて解散してから「今日も無関係な人を巻き込んでしまった」と反省したりした。それでも「ベッドの上でテディベア抱いて踊るアイドルとか、ネタとして面白いよ」と返事をしてくれる優しい人ばかりに囲まれている幸せを噛み締めていた。
今も好きなタレントが出る番組はチェックして応援しているけれど、どっぷりと楽しんでいた頃戻りたいとは思っていない。いつか卒業する前提で始めたことだったし、思ったより随分早く卒業のタイミングが来てしまったが、「いまが卒業するときなんだ」と寂しく思いながらも受け入れることができた。卒業とばかり書いているとAKBグループのメンバーになったような気分に少しだけなれる。
でも、やはりここまで愛してやまないものがあることは幸せであった。お金をつぎ込んでつぎ込んでどうしようもないくらいだったけど、それだけの対価を払ってでも愛してしまうものに出会えたことは、わたしの人生の大きな財産である。もう戻れないことをわかっているから大切に思えるのかもしれない。
だからアニヲタになった友達の愛もいつまで続くかはわからないが、今愛してやまないものがある幸せを、めいいっぱい彼女には噛み締めてもらいたいと思う。